「感情の波のもとを止めて観る」
感情が波立ったときは、その波のもとが
何であるかを内省的に吟味します。
これを「止観(しかん)」と言います。
「魔訶止観(まかしかん)」という仏教書に
書かれてある、煩悩を止めて観る方法です。
感情が暴走してしまうのは、暴走のはじ
まりを意識できていないからです。
意識さえしていれば、コントロールして
暴走を防ぐことができます。
意識するためには、自分の感情の動き
を客観的に眺めてみればよいのです。
例えば、ライバル視している同僚から
仕事の成績のことで見下すようなことを
言われて腹が立ったとき。
「自分はなぜ腹が立っているのだろう」
と客観的に考えます。といっても
「嫌味を言われたから」というだけ
で考えるのをやめてはいけません。
止観では感情の動きを意識に上げる
ことが重要ですから、できるだけ
詳細に、分析的に、感情の動きの
理由を考えます。
「こんなに腹が立つのは、ライバル
視しているアイツに言われたからだ。
もしも意識していない同僚に言われ
たら、こんなに気にならないはずだ」
「アイツと自分とではタイプも仕事の
やり方も違う。自分は自分のやり方
で仕事をすればいいんだ」
「ちょっと嫌味を言われたくらいで
腹を立てるなんて、自分らしく
ないな」という具合です。
このように、止観によって自分の感情
の動きを止めて観るということは、
「抽象度の上がった世界から眺める」
ということです。
抽象度を上げた世界から眺めることが
できれば、努力するまでもなく、
感情は自然とコントロールされます。